現代の交通戦争に生き残るには

暑い暑い今年の夏も、朝晩はパンツ一丁ですと少し肌寒く感じるのは私だけでしょうか…。慣れるということは、凄いことです。

自分が小学生の頃は、エアコン車等は高級車タクシーでしかなく、当時60円(初乗り)の日野ルノータクシーはもちろんエアコンは付いていなかった…。
なんでこんな話をするかと言いますと、930までのポルシェは真夏の日本では、エアコンは名ばかりなのです。
ましてや964位までも渋滞にはまると、国産車の高性能エアコンを当たり前と思っている方々は、まるで故障でもしているかと思われる位、冷えないのであります。
原因は、コンデンサー(冷たさの能力のもと)が小さいのであります。
6月、7月、8月と電装整備屋さんにポルシェが、どどっと入庫してきます。
そう稼ぎ時であります。
何故かと言うと10年選手の964(993も入りますが…)以前の車両のクーラーガス補充も含め、エバポレーター等のクーラーパーツが壊れちゃうのです。
これからオーナーになる方々、これは空冷ポルシェの宿命と思って下さい。
そういえばベンツ、BMのこの時代の物は、やはりエアコンの冷たさは悪いですね…。
夏はポルシェの場合、もちろん993までの車両は、デート又は家族での長距離ドライブに使用は避けた方が良いと思います。
その点996、986等の水冷は、よく冷えますです。
まぁスーパー7かスパイダーと思えば、屋根があるだけ日差しは防げますが…。
もちろん整備をきちっとすれば、それなりに冷えますけど…。
ダイエットしたい又は、しなければいけない状態の方々で空冷ポルシェをお持ちの方々は、できればレーシングスーツ、フルフェイスでサーキットを30分以上連続で走行されれば、かなりの効果が得られます。
又、レーシングスポーツと言われる所以は、体全体の筋肉を動かします。それも俊敏に…。
そして運動能力において一般道に、全ての状況において対応能力が増すのであります。
自分が大臣であったなら、現在の交通事故をかなりのパーセントで少なくさせる自身があります。
今の自動車学校で言うと自動車免許をとる為の教習時間は、悪く言えばところ天方式です。
自分が18歳で普通免許を取得したのは、30年以上前ですが、すでに単車の免許を取得し、4輪は3時間の実技指導(試験場のコースを知る為)を受け、試験場で筆記、実技を受け、それで取ったのです。
その当時は誰もがそんな感じで、自動車学校での実技免除で取る今の方式はあまりありませんでした。
一般道路が自分らの練習場みたいなものでしたから…。
当時は、ラジアルタイヤがやっと発売され160q(もちろんスピード違反ですが)何てもうレーシングカーの世界でした。
スカイラインGT−Bで従兄の横に座って100qで"ガー"と走られた時は、興奮ものでした。
自動車事故もありましたが、そんなに大きなものは少なかったのです。
しかし現在の車両性能は、その当時のちょっとしたレーシングカーものです。
それを免許取得した初心者が、すぐに得られるのです。
おまけに道路上の車両の多さは言うまでもありません。事故に遭遇する確立は、確実に増加しています。
アメリカのように16歳で、4輪免許がいとも簡単に取得できる国もあります。(最近は試験が厳しくなったようですが…)
ただアメリカの道路巾は広く、大都市周辺以外は、何処も北海道の荒野を走っているような、実にゆったりしておるのです。
アメリカに30年住んでいる友人は、時々日本に帰ってきますが日本(特に都市周辺)は、道路が狭く怖くて運転できないと全く運転しません。
この方は、アメリカでは自動車のチューニング及び修理をしているのですが…。
日本では、現在車両の性能は世界のトップレベル。
そして道巾は狭く、車両の保有台数も多く、十字路それも左右の見通しの悪さは天下一品。
気候も雨、雪と気象条件は、テストに最適。
こんな日本の道路事情は、世界でも最も危険な条件を持ち合わせているのです。
ヨーロッパから来訪した友人に、愛知県周辺を運転してもらい感想を聞くと、よく口にするのは、"クレージーだ!!"と言います。
こんな中で初心者は、旅立って行くのです。まるで、サバイバルです。
1年位では、うわべだけしか経験できません。
原因としては、事故の怖さ、自分の対応能力の低さを知らない為、自分のコントロール出来る限界を超えた場合のとっさの判断が出来ず、事故が起こるのです。
じゃあ、如何したら良いのか…。
自分も含め年輩者の方々と今までに何度か怖い思いをしたが、何とか切り抜けてきた方々は、もうお分かりでしょうが怖さを知っている為、自分の能力に即した運転をされているのです。知らぬ内に…。
しかし若者、特に免許を取得して大きな事故の経験のない方々は、なんともなりません。
時々、助手席に乗る事があります。自分の嫁さんならいきなり大喧嘩しているところですが…。
自動車教習の中に、サーキット走行と8の字定常旋回の出来るコースで経験させたいです。
若者の中には、上手い方もおられます。
その方々は、やはりミニサーキットや峠等で練習していますよね。
例のD1グランプリ(ドリフト大会)では、自分でも真似の出来ない素晴らしい走りをされています。
何でもそうですが、先の先を読む。
交通事故の中で右折車と直進車の交差点内事故は、全て未熟な経験から発生しています。
自分が交差点を右折する場合、直進車が無いことを確認出来るまで進む気になりません。やはり死ぬのは恐いですから…。
サーキットを走ることは、まず高速時での車両の横方向への不安定を習得し、コーナー手前では速度の制御を習得し、連続コーナーでは次の、コーナーの為のコース取り又、前に遅い車両があった場合の追い越し方等、先を読むことを習得します。
その際、速度はしゃかりきに出す必要はありません。
サーキットは経験されると間違いなく一皮むけます。
車両のコントロールの難しさを体験されると思います。
そうすると一般道においてやはり恐怖感を感じ、その恐怖感からまず速度を落とします。
又、見えないことに対し確認出来るまで無謀な行動をしなくなります。
サーキットでそれらを、身を持って体験するからです。
8の字旋回では、車両のドリフトを体験でき、いかに簡単にスライドするかを習得します。
もちろん横滑り防止装置が着いている車両は、再現に苦労しますが…。
交通事故を未然に防ぐこと、それは自分自身が限界を越える走行を安全に体感した時、自分の技量及び車両の特性を知ることなのです。
悲しい事実ですが、若者が定員いっぱいの5人乗車でカーブをスリップし、激突して全員死亡という記事を目にすると思いますが、これは起こるべくして起こる事故なのです。
経験者及び年輩の方々は、もうお分かりでしょうが、これは慣性の法則に沿って起きたものです。
1名の重量と5名の重量では、車両の限界は極端に変わるのです。
よくレースカーで重量制限している車両のドライブフィールをレーサーが、50s重くなったら加速、ブレーキ、コーナーリングと全く違った車両になると答えています。
これが、ストリートカーでも共通するのです。
ましてや4名増えることは、200s以上ですから限界を越えた走行し、何処へいくか分からないほど特性が変わり、コントロール出来なくなるのは当然で、ましてや経験の少ない若者(年には関係ないか…)であれば、なおさらパニック状態です。
まず、熟練者であれば、そのような状態でスピードを増すとか急激なコーナーリングは、その前から不安定ですから無茶をすることはないのです。

モータースポーツと自動車学校とサーキット、現社会で車両を利用する部分がどの位占めているかは、もう皆さんはお分かりでしょう。
この避けては通れない自動車を何故もっと皆さんは知ろうとしないのでしょうか…。
車は危ない。モータースポーツは危険だ。と言っている方々は、自分の子供や親戚の方が自動車事故を起こしたり、被害にあうことを何故心配して予防はしないのでしょうか…。
あまりにも簡単に自動車免許を取得し、いきなり高性能の車両に乗るということは、あの忌まわしい第二次世界大戦の末期、碌な飛行機操縦の練習もさせず、経験の少ない若者に戦闘機に乗せ、敵地へ乗り込んでいくのと同じように思うのは自分だけでしょうか。
当時の若者は死ぬという恐怖がありましたが、現在の交通事故は誰も自分がそうなるとは思っていません。
ですからなお更、まわりの経験者そして国が規制して初心者への技術指導をしなければなりません。
学生が、テストで悪い点を取ろうが、社会人が仕事上(車両上は別ですが)でミスをしても「すみません」で済みますが、運転中のミスは大事故に繋がる事と初心者はやはり分かってないのですから…。
サーキットで技を磨くことが、とても効果あることを伝導していきます。

平成16年8月30 アイメック
鶴田昭臣