慣性の法則について

JR西日本の脱線事故の被害に遭われ亡くなられた方々に哀悼の意を表します。
又、ケガをされた方々にお見舞い申し上げます。
亡くなられた方の遺族の方々には、どうお悔やみ申し上げればよいか心中お察し申し上げるしかありません。気を確かにお持ちになり、亡くなられた方々の分まで強く生きて頂くことを願うばかりです。

今回、鶴田の部屋は、なかなか筆が進みませんでした。
しかし、何か少しでも自分の意見を報告し、自我の満足ではなく自分を含め、今回の事故が起こるべくして起こった人災を大いに反省、そして原因を究明され再発防止に努めなければいけません。
多くの経験者が連日テレビ、ラジオの報道番組で、事故の原因等を説明されています。色々な要素が絡み合い事故が起こる事は、皆さんもある程度の事は理解されていると思います。
私などの第三者の立場がとやかく言う筋合いでは無いでしょうが、あえて言わせて頂きます。

言葉の例が悪いですが、23才で11ヶ月の実務経験の高見氏に旧国鉄体質のまだ抜けてないJR西日本には、第二次世界大戦末期の無謀とも言える特攻隊を思い出されました。
もちろん私は、戦争経験者ではありませんが興味はあり、特に飛行機の歴史を調べますと、戦争末期に17、18才の若きパイロットは、1年も掛けないでにわかパイロットにされ、経験も僅か、ましてや敵との実戦も経験してない者に片道の燃料で飛び立って行くのです。
高見氏の技量を非難するつもりは毛頭ありません。逆に同情しておりますが、やはり経験不足は否めないと思います。もちろんJR西日本の超がつく過密ダイヤに対してベテランの方々の証言でもダイヤの遅れは何ともならなく、オーバースピードは日常的だったとインタビューでもあるとおりです。そして、日勤教育と称したいじめ、まるで軍隊教育か、レベルの低い社員教育です。旧国鉄の旧態依然とした、、、。結果として、教育としては効果が薄いことが今回判明した訳です。
直線は誰でも加速は出来ます。しかし、コーナー手前の減速のタイミングと減速の為のブレーキ量は経験と沈着冷静な判断力が求められます。
事故原因が日々だんだん究明されていますが、5月3日の時点では、やはりコーナー手前でのオーバースピード、そして車両が不安定になった時点での急ブレーキ、まさに慣性の法則に従って、車両はコーナー側に脱線転覆したのです。
レバタラはこの際通用しませんが、高見氏の年令、経験値、そして責任感の強さがもたらしたものだと思います。
もう少し私みたいにいい加減であったなら、上司(会社)からの罰則もものともせず、、、。悔やんでも悔やみきれません。

もう1つ気付いた事がありました。
事項内容が全く異質でありますので比較にはなりませんが、ホリエモン氏が日本放送の株を時間外枠で一部買い占めたことについて、日枝会長(フジテレビの)側の弁護として元総理をはじめ、一部の政治家がホリエモン氏をことごとく批判しておりました。
今回の件については、テレビのニュース等ではJR西日本という会社も含め、社長を批評、批判している政治家はおられませんでした。
大人の社会は単純と思いました。強いものには巻かれろ!弱いものには、もっといじめろ!と思えてなりません。
これが民間の私鉄会社であったらどうでしょうか、、、。
ライバルの私鉄共、面白く思っていないJR西日本はここぞとばかりに政治家を駆使して攻め続け、存続の危機までおとしめようとするでしょうね。あくまで想像ですが、、、。
実は私の友人には、JR西日本に勤めている方がおられます。又、お客様の中にも、、、。しかし、その方々は本当に良い方々です。
針のむしろ状態のその方々には、同情しつつもあえて苦言を申し上げました。
日勤教育は、その指導者達にもおやりになられたらどうでしょう。

ちょっと興奮しました。話を元に戻して、、、。

自動車レースならオーバースピードでコーナーに侵入した時、スピンしてしまうのと同じ事例です。
自動車免許取り立ての若者が、友人と乗車定員いっぱい乗り込ませ、オーバースピードでコーナーを曲がりきれず悲しい事故となると同様です。
今回JR西日本の発表ですと、このコーナーは100q以上のスピードでも曲がれるとテスト報告していましたが、その時点での車両は、乗車ゼロであったそうです。1人体重50sとして、100人乗っていれば約5tです。
オーバーですが停車状態でも、その5tの力で横から引っ張ってやれば、、、。
F1のレースでコーナーリング内側の車が外側の車両にチョコンと当たっただけで、外側に弾き飛ばされているのをよく目にしますが、あれと同じ状態です。
私の家の猫(シロ)もノー天気ですけど、それ以上で飽きれてものも言えないというのは、こういう時に使うんですね。
電車の場合、オーバースピードでコーナー侵入した場合(自動車のように運が良ければスピンして済みますが)逃げようがありません。
このような事例は、専門家であれば予測が付いたでしょうし、運転士の教育期間中も徹底して覚えこまされてたはずです。
それでも実際に事故は起こりました。
複雑な要素が重なったと思いたいですが、、、。
弊社でも今回の事故のような原因をつくらないよう社員に報告し、注意し合いました。
慣性の法則について、ここで詳しくは説明しませんが、我々の日常生活の中で、良きにつけ悪しきにつけ利用されたり、トラブルの原因になったりしています。
自動車のフライホイール(オートマの場合、トルクコンバーターと言いますが)は、アイドリング性能を安定させますし、低速域でのスムーズなエンジン回転数を維持します。
反対にフライホイールを軽くする(又はF1のようなレーシングカーは殆んど重さがありませんが)車両は、アイドルは不安定になりますが、回転の吹き上がりは鋭くなり、エンジンブレーキ時は良く効くようになります。要は、重りの役目をしているのです。
ポルシェ964カレラ2は、RS用のフライホイールを交換するだけで、シャーシーダイナモ等で馬力測定すると、10ps以上向上します。が、アイドルは不安定になり、ストールすることもしばしばです。
ブレーキ性能についても、ポルシェが強力なブレーキパーツを装備していますが、これもコーナー手前で急制動可能にする為なのです。
ブレーキ慣性とは、強い因果関係があり、動いている物体を止めるには、慣性の法律を無視しては語れません。
ポルシェ911シリーズも慣性の法則との戦いと言っても過言ではありません。
コーナーリング中、911は絶えずリヤの挙動に気を付けていなければステアリング修正と一定のアクセリングを要求します。
もちろん腕に自信ある方は、今流行のドリフトでコーナーを攻められますが、私みたいにリヤが滑り出すと、気持ちは分かっているのですが、ついアクセルのペダルから足が離れてしまいます。
そうするとコーナーリング中、車両はタイヤのグリップ限界をフラフラしながら我慢していたものが、トラクション(前に行く力)が急に無くなるとエンジンが重り代わりとなり、時計の振り子のようにコーナーの外側に滑り出すのです。
この事はポルシェ乗りの方で、スピンを経験された方は"なんだか分からないうちにスピンをして、ガードレールに突き刺さっちまったがや!"と感想を延べられるのです。
ちなみに余談ですが、ポルシェのホイールは、特にリヤ側はFRとは比べものにならない位、荷重がかかります。というのは、鋳造等のホイールでは路面からタイヤを通して伝わった荷重が、ホイールのスポーク部(弱い部分)に加わり、ホイールのディスク部が大きくたわんでいるのをご存知でしょうか、、、。
それらテストを私は、BBSのテスト機で見ておりますので、本当に恐いです。
日本BBS社のマグネシウム鍛造ホイールのポルシェ用は、強度が増して作られております。余談でした。
サスペンションもそうです。
タイヤとホイールの重りを、ショックアブソーバーという減衰装置が慣性力をその都度消しているのです。ですから軽い方が短時間で消せるのです。
しかし、軽くしろと言って強度の限界を越えるようなペランペランのホイールでは、変形(たわみ)してしまいますので、何でも言い訳ではありません。
こうして考えますと、自動車の技術はどんどん進み、現代ではシートベルトしていれば大きな事故に遭遇してもかなりの確立で生存しますが、電車はシートベルトがありませんし、ましてや吊革に捕まって立っている状態で、突然強い衝撃を外部から加えれば、甚大な被害が出るのは必定であります。
電車の性能は向上しているのでしょうが、安全面ではレールの横造も含め、そんなに20年前と大きく進歩しているとは思えません。
テレビでの実験では、電車はレールの上で横からの力と慣性力で、いとも簡単に脱線しておりました。
スピードが増してもコーナーリング性能が当時と同様であれば、最近の自動車がテンパータイヤを装着してコーナーリングをしているのと同じ状況です。恐くて同乗する気にはなれません。
色々と個人的感想で延べましたが、亡くなられた方々には、お気の毒としか言いようがありません。

今回は、どのように纏めようにも纏められない、ツルタのグチになってしましました。

ただただ、合掌であります。


平成17年5月3日
鶴 田 昭 臣