ポルシェ996 GT2 筑波を走る。

さる11月某日寒さも増したツクバサーキットにてゲンロク誌初のDVD発売の収録の為弊社デモカーであったGT2(996)を参加させていただきました。
であったという過去形のGT2号は弊社の開発、取材等を終え過去にも弊社のチューニングカーを持って頂いていたお客さまにお譲りしたのですが、今回の為に無理いってお借りしたのです。 ちょうど点検、整備もあり豊田市に里帰りしておりましたので、、。

レーシングドライバー田中哲也氏と3台の騎馬の図
こうやって3台を並べるとGT2は、とてもまたどうみても地味というか田舎者というか浮いて見えます。
花が無いというのはこういうことをいうのか、、、。
しかし、なにかの縁かポルシェのエンブレムの馬はシュツットガルト市の紋章からである、馬から用いており フェラーリは二つの説があるが、戦闘機パイロットの友人が打ち落としたドイツ機(第1次大戦時)の胴体についていたシュツトガルト市の紋章を祈念に取っていてフェラーリ氏にレーシングティームを創設したときにこれをエンブレムとして申し出たのをエンツォさんは大いに感激して受け入れたんだと、、、。
そしてガヤルドはというと今のアウディ社が製造していてこの会社の創設者のひとりがピエヒ氏といってフェルデナンド、ポルシェのお姉さんの旦那になる人です。
この因果関係はいかに、、、、。
過去にも弊社の代々のデモカーは、役目が終了しますと皆様にお譲りしてるのですがその他のお客様で過去にチューニングされ転売された車両も次に購入されました方から弊社に連絡あり、内容を教えて欲しいとかそちらで又整備ができるかとお問い合わせが多く、元気な姿を見れるのが楽しみでもあります。
ようは丈夫で長持ちと、、自慢話でした。

内容はDVDをご覧になればよく判りますので、ぜひお買い求めください。 かさねてお願いします。
内容は他の2台のスーパーカーとの比較試乗なのですが、やはり主役はF430(説明無用でしょうが、フェラーリです。 念のため)でしょう。
3台並べてレーシングドライバーそして自動車ジャーナリストの田中哲也氏が、全ての試乗インプレッションしているところをビデオ撮影されてましたが、撮影現場で見ていても、又どうひいき目にみても花は真っ赤のフェラーリ、そしてオレンジ色のガヤルド、我がシルバーのGT2はとても地味に見えたのは私だけではないのです。
文化の違いか、やはりイタ車とドイツ車の違いか、、、。
自分は批評家ではありませんが、かりに"3台のうちどれか1台やる!"と言われたら、迷わずF43、、、、、、。
しかし、その車両で1,000km離れたゴールまで勝負するには、、、と言われれば迷わずGT2を選ぶでしょう、、、。 さて皆さんは、、、。
宝くじでも当たらないかぎりこんなことは有りえないのですから、思いをはせるくらい本人の自由ですよね!等とへんにすねているツルタでした。

今回はF430,ガヤルド(アウディ製イタリア産ですが)は、全くのスタンダード車両、そしてGT2は、570PS以上とヨコハマA048(Sタイヤ)のチューニングカーなので比較するにはチョッと酷ですが、いざ実際田中氏の3車試乗後の報告では裏ストレートのトップスピードは、3車殆ど同じ位であったと、、、。
加速では、もちろんGT2の圧倒的なトルクで凄いのだけどF430の比べGT2とガヤルドはブレーキが不安で早く踏んでしまうからなのだそうです。
見るとF430のカーボンセラミック製フロントローターの大きさときたら、、、。
GT2のフロントローター(これもセラミックですが)が、F430のリヤローターくらいにしか見えません。 でかい!
車重は、大体1,500kg前後なので後はブレーキ勝負になるのです。
もちろん3車に対してこのコースは、これらビッグパワーの真骨頂を発揮できるストレートがあまりに短すぎます。 3車のベストラップはDVDでご覧になれると思いますがあらためてここに表記します。

ガヤルド 1分07秒08 F430 1分04秒66
GT2 1分01秒38 R34GTR 1分07秒60

我がGT2だけのことを自分なりに評価しますと1,450kgの車重(いっさい軽量化していません、ナビも付いたままのおじさん仕様)と、Sタイヤを履いたとはいえプロドライバーの好みのセッティングもいっさい出来ず、3〜4ラップしてパっと出していただいたタイムは、非常に満足しています。
田中氏からはとても乗りやすくパワーの出方もとてもスムース、足もなかなかねばる。 特にクイックシフト(弊社のオリジナルを装着)のフィールが良くシフトアップ、ダウンがとても気持よかったと評価していただきました。

クイックシフトの図
これが弊社自慢のクイックシフト(ショートシフトともいう)。
発売してすぐ色違いで全く似たコピー商品が出ました。
海外にも輸出しましたがそれも半年くらいあとにコピー商品がでました。
弊社の物はよく真似されます。一流の証でしょうかなどとのどかなことをいってる場合ではないのですが、、。
今回、田中氏が絶賛してくださいました。 なかなかプロの方は自分たちのを商品をほめないのですが、、。
田中氏は、純粋な方だと思いました。
昔、アルミ製のペタルKITを装着した弊社デモカーをあるプロドライバーに乗っていただきました。
その時、その方に意見を求めましたら、全く見当違いの意見をいただき、それも批判されたのですが、ショップのレベルをあまりよく思ってない印象を受けました。 その方のレベルの低さ、差別する態度は、全く田中氏とは正反対です。 人の振り見て我がふりなおせですが、自分がその意見を求められる立場になってきて、一層相手の身になって対応しなければならないとその方は教えてくれたのでしょうね。

試作段階ではショートシフトの比率をノーマルの40%くらいにして非常にクイックになったのですが、その分、シフト操作力が重くなり、特に始動時のギヤオイルが冷えてるときとか、市街地でボケーと走行してる時は、やはりシフト操作が苦痛になってくるので、比率を下げました。
従来のストロークに比べ、手首の返しのみでスコスコっと操作できるのは、やはり気持よいです。
お金を出した価値があるというものです。
現在は、ポルシェ社からもショートシフトがオプションとして発売されましたが、お高いです。
弊社の3倍くらい、、、、、と宣伝させていただきました。
ちなみにGT3、GT2(996系)の両者とも純正は、カレラ系と同じでストローク大です。
価格29,000円(税別)しかし、最近は996系からとくにそうですがマニュアル車は少なくなりました。
時代のながれを感じます。
あえて言わせていただくとタイムアタック時、もう少しの時間と余裕があり、ドライバーの好みのセッティングに調整できれば、又これは田中氏の意見ですがダンロップブリッジ後のこのコース唯一の高速左コーナーでビッグパワーとハイスピードの横Gにノーマルのリヤウイングと弊社UFS(アンダーフロアスポイラー)でもダウンフォース不足で外側にリヤタイヤがパッパッと飛んでいってしまい満足に踏めなかった、、。
レバタラなれば、1分は切れるでしょう、、と。

実は、この車両1年前にも田中氏に鈴鹿で乗っていただいたことがあるのですが、、。
そのときはタイムアタックでは無かったので記録はありませんが、そのときの印象より今回の方がメリハリがあるね、、とも言っていただきました。
3〜4年前、ヤハゲンロク誌の取材で弊社の993GT2エボ、ナイテンさんのGT3CUP(ほんぽう初公開の新車)などを走らせ、セッティング無しのぶっつけ本番で1分フラットが出ましたが、それらはいくらセッティング無しといえどいも車重1,200kg以下ですので、このようなサーキットでの今回のGT2のタイムはやはりポルシェ恐ろしと、、。 もちろんいきなり操られた田中氏のテクニックレベルの高さもたいしたものです。
DVD撮影ということもあり、3車とも何かあってはいけないとホンキモードのアタックではなかったとおっしゃっていましたが、やはりプロという方の根性を垣間見た気がしました。

ホイールとタイヤのズレの図
べつに横Vサインで手フェチの方用に撮ったのではありません。
これはGT2のリヤホイールとタイヤが強烈な加速にズレたことを示してるのです。
ですからレース車用のホイールにはビード部にローレット加工(ギザギザの)してあるのです。
でもって今回1週間前にクリームを使わないでセッケン水を使用してタイヤを組み付け、そのままエア圧を高めにして前日まで置いておき、リムとタイヤの間の密着を良くし、東京まで慣らし走行を兼ね筑波に望みましたが、それでもこれだけズレます。
これが鈴鹿とかフジだと半周くらいします。
こうなるとタイヤバランスなどといってる場合でなく、200Kmくらいから異常振動してきます。
Sタイヤだからグリップが良いため、そして空気圧を普通のラジアルタイヤより下げる為か、ラジアルタイヤでは、ズレはすくないです。
フロントはどうかというと、リヤが加速時にズレルのに対し、ブレーキングによりズレます。
フロントとリヤは逆方向にズレるのです。
ワンポイントミニ知識であります。
今回は時間の都合上、自分が豊田市から前日筑波に向けて自走しました。
途中、取材前に何かあってはいけないととても慎重にそして前車との車間距離も
必要以上に空けて走行しました。
そうこうしていると途中、バックミラーに某ベンツ500PS車黒色と某F360車黄色が迫ってくるではありませんか、、、。 丁度1台追い抜くところで追い越し車線かすぐに走行車線に移行し、道をゆずりました。 彼らは疾風のごとくあっというまに追い抜いていきました(このような表現は、、古いのは承知のうえと開き直っていますが)。
しかし、ものの数分のうちに前方が混んでいた為、追いつきました。 すると何を思ったのか自分に道を譲り左に移行されました、2台とも、、、。
自分は自然に追い抜き、そんなことを2〜3回繰り返しました。
そんなことをやっていると前方がちょっと空いてきたので又、自分がそのとき先頭だったものですから、ちょっとテストを兼ねて5速に落とし加速しましたら、なんと4,500RPM付近でリヤがあばれだしたのでした。 そう100プラスアルファの速度で途中からリヤタイヤが強大なトルクでホイールスピンしだしたのです。 もちろんとっさにハンドル修正しながら、、。 横にかすかに流れながら、、、。 ここでアクセルを離したらおつりがきて直ドリならぬ直スピンなどとかすかに思いながらアクセルをされに踏み込みました。 もちろん車両はちょっと横に流れながらするどい加速であっという間に
彼らはバックミラーのはるかかなた、、。 まるで彼らが急激なバックをしているみたいでした。

予測してなかったので自分をあわてましたが、原因は11月の寒い気候に一定走行でしたのでターボは効かず、両脇のインタークーラーは冷え冷えの状態、そこにいっきに加速(全開ではありません)したものですから、空気が良く冷え酸素濃度の高い充填効率となり、ちょうどトルクの最大回転粋になり、ものすごいトルクが発生した為の結果だったのです。 自分でも100km以上の速度域からの突然のホイールスピンは初めてでした。 貴重な体験をさせていただいたのです。
この車両は、やはり馬力はありますので、スタート時、インタークーラーの冷えた状態であれば、1速2速では全開できません。 絶えずホイールスピンするので、Sタイヤでも、、、。

3速あたりでも注意しないと加速途中からおしりを振ることはあるので注意はしますが、まさか5速でのしりふりはおもってもいませんでした。
ちょっとスリルでした。 まあしかし、このGT2はそんなじゃじゃ馬ではありません。
むかしのようなドッカン加速ではないのですが、それはもう2,500PRM付近からするどい加速をしてくれます。 それでも6速のままで市街地を60km以下でシフトダウンせずおうちゃく運転ができるのです。 とても乗りやすいことをあらためてお伝えします。

話は戻ってそのするどい加速であっという間にその2台をおきざりにしてしまいまして、そのあと彼らはその後ついて来なくなりましたが、東京近郊になり混んで来ましたら、左の方からブチュとぬき去っていかれ、ミズスマシのごとく右に左に前車を追い抜き視界か消えていきました。
そんなこんなで無事守屋パーキングでゲンロク誌の佐々木さんと落ち合い、本日の宿筑波に到着したのであります。

夜の全員でのお食事会が始まりました。 ゲンロク誌田中編集長は、明日はフジスピードウェイでのベイロン試乗会で唯一欠席された以外全員の参加、そしてDVD撮影の為の関係者と総勢、、覚えてない、、。 たしか20人くらいか???お酒を飲んだことは覚えているのですが、、、。 と、夜はふけて行きました。 明日はAM3:30スタートなのに、、、。 焼肉の追加とジンロの追加は覚えています、、。 そうこうすると遅れて田中氏も到着して、また飲みなおしです。 名誉のために言っておきますが田中氏はお酒は飲めるのですが明日のテストに控えてビール一杯でした。 念のために、、、。

朝の撮影準備に「こんなに早く出ないといけないのか?」と思うくらい早くからの準備、、。

ピットにて出番を待つ我がGT2君。
この日もとても寒くて朝AM3:30に起され、現着4:00、まだ真っ暗な中、おにぎりとミソスープで体を温め出番を待つの図。
明るくなり8:00よりコースオープン、まずはF430がイメージ取りや、なんやらで、、、。
メインストレートを快音とともに通過するF430を横目に見て、こういう時だけ「愛馬よ頼むぞ!」とお願いしてるツルタであった。
もちろん撮影は朝日が出てからですから、4時間くらいのあいだに車内にビデオカメラを設置したり、コース脇のテレビカメラ設置と撮影斑は忙しそうです。
自分たちはというと、ずっと待ちです。 明るくなるのを、、、。 おにぎりとカップミソスープを飲みつつ、、。 寒いとぼやきながら、、。

コースは8時から10時の2時間です。 その中で4台の撮影です。 あっというまの2時間が過ぎ、何事も無く走りの撮影は終了、そして場所を変えての各部の撮影、途中昼飯を遅くとり、又、撮影。
自分の仕事は無いようで、なにかちょっとあるんですね。 だから待ちながらちょっと仕事しながら、又、待ってと・・・。 今回の撮影は、置きの写真取りとは全く違う進行になります。 まあ、待つことも仕事なんですね。 よく俳優さん達が待ち時間に何かしているなどとインタビューで答えていましたが、そんな感じの1日でした。
AM3:30からPM3:30、ぶっとおしの12時間、撮影斑はこれから帰って編集作業、ゲンロク編集部の皆も帰って年末分の編集がこれから山ほど待ってると急いで撤収であります。 ツルタはというと今日の仕事はあと、おうちに帰る前に都内でちょっと寄り道であります。
けど仕事をしてない訳ではないのですよ、帰りは別のお客さの車両を又、豊田まで自走であります。 ただでは帰していただけません。 新幹線で一杯やりながらってのはいっさいありませんから、、。
本日の労働時間、豊田到着が夜の10時ごろだったので合わせて19時間あまり、、、。
たまにはこうやって働いているふりをしている今日この頃でした。


平成17年12月29日
鶴 田 昭 臣



追伸:
平成17年もあっという間に年末になりました。 今年は振り返ってみますと一番心配しておりました社内でけが、事故が無かったことを皆に感謝しております。
だれも故意に起こす訳ではないのですが、事故、怪我が起こるということは、やはりなにがしかの原因があるものです。 もちろんこのような仕事をしていることで危険は常に伴うのですが、自分が毎朝朝礼で事故を起こさぬようにと耳にタコができるくらい言っても起きるときは起きるのです。
ですから今年の無事故は最大の目標達成と喜んでおります。
もちろんお客さまに満足し、喜んでもらえることも大変重要なことでこれについては皆様の来年の弊社に対するご要望が今年の結果から現れてくることと思っています。

最近の巷の事件について言及は避けますが、やはり人間の幼いころからの環境、教育が近頃は核家族構成か本人の主体性に任せるとかといって人格形成を放棄している親、先生、そして国の教育委員会等の怠慢と思うのは自分だけでしょうか、、、。 鉄は熱いうちにたたけというでありませんか、人間の形成について、自分は専門化ではありませんので生意気なことはいえませんが、こと車社会のルールに対してはちょっと物言いたいですね。
高速道路を走行していては、追い越し車線をいつまでも走行してたり、ましてや後ろからパッシングなどするものなら何を思ってか何時までも譲らず、にらみ返してくるとか、、、。 こんなことドイツなど先進国の道路では考えられません。 絶えずうしろをルームミラーで確認しつつ追い越し車線に入り、前車を追い越したら速やかに走行車線に戻ります。 とても運転しやすいのです。
雨や朝から曇りなどはすぐにスモールライトを点灯します。 アメリカではレンタカーなどはエンジン始動時にヘッドライトは点灯します。

それがわが国では、夕方、まるでいまだに第2次世界大戦中と思っておるのか、バッテリーが減るとでも思っておるのか(だいぶ興奮してきた言い方)灯火管制でもしているかのごとくライトを付けてない方(老若男女すべての範囲で)が本当に多いのです。
自動車学校の先生、あなたのせいにはしたくないが自動車運転でのマナーの基本的欠如があまりに多いと思うのは私だけでしょうか、、、。
すこし横道にそれましたが、2005年は、私共チューニング業界にとっても冬の時代に突入しました。
来年2006年はもっと厳しくなると想像できます。 われ等の基本的理念は自動車があるかぎり変えるつもりは無く、楽しく真剣に取り組んでいきたいと思っております。
さらなるご支援、ご賛同を宜しくお願いします。

2006年は、貴方様にとって良い年でありますように。