BBS製鍛造マグネシウムホイールのお話

今ごろになってマグホイールのお話をするのは、“イッツタイムオーバー”等と言われそうですが、あえてお話します。

このマグホイール販売については日本BBS社の故広川雅造氏との出会いから始まります。

又、同社の大西常務とのご縁が現在に至っております。

広川氏は、当時(私がお会いしたのは1983年頃)同社のモータースポーツ〔現在はプロジット社〕部門を担当されていました。私はその当時(株)サードに在籍しておりまして、Gr,AカーとGr,Cカーのレース参戦もやっておりました。それで、BBS製ホイールをレース車両に使用していました。同時に、ストリートカーのチューニング車両にBBS製品を取りつけてイメージアップをはかっておりました。

当時もそうですが、同社の広川氏はイメージを大切にされており、国産のチューニングカーにはあまり興味を示されませんでしたが、私の意見に賛同され、協賛して頂いたのが最初でした。

そして、広川氏の亡きあと、大西常務とお会いしたのがアイメックを起こしてポルシェのチューニングカー(黒の993ターボ)を東京オートサロンショー(1999年)に出展した時に、初めてお会いしました。               

 その時は993ターボのリヤホイール専用商品を製作依頼しました。

それが製品番号LM174という10J−18インチ ET35mmという商品です。

ある日、大西常務から突然「意見が欲しいので上京して欲しい」との連絡が有り、何事かわからず上京したのが2001年でした。内容は「新しいホイールを発売しようと思うが意見が欲しい」という質問にそれなりにお答えしました。

そして、大西常務より 「新しいマグホイールを限られた方々にお売りしてアフターフォローまで確実に見て欲しいのだが、アイメックでやってみないか・・・」と、大変光栄な申し出がありました。

その場ではあまりの重責に即答は出来ませんでした。「よく考え検討しますのでしばらくお待ちください」とだけお答えしました。

BBSといえば世界に冠たるホイールのビッグメーカーで、あのF1にも取り付けられ、それもフェラーリ社を初め、他のF1チームも含め全て買って頂いているのです。

しばらく悩んだあげく、これは生半可に引き受けるととんでもないことになるとは思いましたが、与えられたチャンスを素直に受け止め全力で向っていけば道は開けると思い、お引き受けしました。

それからは色々な決め事を始め、デザイン、色、サイズをどれで行くか・・・等、決定することがこんなにあるのかと、改めてホイールの誕生するまでの苦労を思い知りました。

 今までは完成した商品をなんだかんだと文句を言いながら販売するだけで良かったのが、オリジナルな商品をお売りし、相手を限定するという特別な方法でしたので戸惑いました。

そして、紆余曲折があり発売開始日は2002年6月からでした。

価格は鍛造マグホイールとしてはリーズナブルな価格です。

性能はというと、このホイールを設計されたのは現在のF1ホイール用のマグホイールも設計された方々なのです。

もちろん、ゆるぎない自信と豊富なデータ、そしてJWL,VIAの規格を大幅に上回る社内の安全基準で完成されました。

実はこの鍛造マグホイールのストリートバージョンは10年以上前に試作は製作され、日本BBS社の社員の車両に装着され、一般道でテストされておりました。

私も含め見られた方は多いと思います。

軽い(鉄の比重を10とすると、アルミ3.5 マグ2.3)、そして鍛造であるため、非常に強度がある・・・と、簡単に書けばこれだけですが、材料の耐腐食性の向上と特許の塗装により耐久性は殆ど半永久です。

10年以上走行した今日でも全く問題はありませんが、やはりホイールの表面のキズ等による塗膜がはがれ、マグの素材表面が大気中に露出すると問題はありますので定期的なメンテナンスは必要です。

その辺がレース車両は容易ですが、ストリート車の場合、私どもの管理が必要となり、お客様を限定させて頂きました。

強度については私の説明できる範囲で述べさせて頂きます。

よく「アルミとマグと強度はどの位違うのかね」というご質問があります。

答えは「正確には少し違いますがほぼ同じです」

では、何が違うかと言いますと「比重、つまり重量です」。俗にバネ下重量は「ホイール1Kgの軽減は一般にバネ上(座席上)での15Kg(15倍)の軽減に相当する」と言われています。

例えば人が5Kgの荷物を背負って走ることは容易ですが、片方2.5Kgの鉄製の靴を両足に履いて走ることはかなり困難です。加速、減速、コーナリング、デコボコの段差等の全てにおいて・・・。

これらのことは話を聞くと理解できますが、実際は車両に装着して比較走行しますと発進、加速、減速、コーナリング、そして燃費とまるで別の車両になります。

しかし、あまり他社を批判したくないのですが、性能追及のあまり鍛造ではあるが、軽量化しすぎて著しく強度を落としてる物が多いのです。

日本BBS(株)では製造元のワシマイヤー(株)で商品の強度試験を独自の基準(BBS/AGのヨーロッパ規格)で行っていますが、その基準で他社の物をテストすると途中で破壊してしまう物が多いのです。

鍛造マグホイールをそれもストリート用に発売に踏み切った同社の心意気は絶対に近い信頼と期待のもとに決断されたことが自分には伝わってきます。

 「じゃなぜ最近のGT選手権にポルシェ軍はBBSホイールを装着してる車両が少ないなか」という質問を受けます。

ずばり、同社はレース用ホイールも全て販売してるからです。

他社ホイールは安価、または協賛されてるのです。

レーシングチームはただでさえ出費がかさみます。ましてやBBSレーシングホイールはセンターデスクが鋳造のため、レース毎にクラックチェックを受けねばなりません。

ただし、現在S耐であるチームが使用されてる鍛造ワンピースのアルミホイールは問題ありませんが・・・。他社国産メーカーのマグホイールもクラックチェックをやってますが安価です。

あるチームのポルシェをドライブしてた方と話しをしていて「BBSホイールからある日本製メーカーのホイールに換えた途端、ステアリングフィールが変わり絶えず変化していた」と、話しておられました。

想像するにセンターデスクの変形が考えられました。ポルシェは想像以上にリヤホイールに負担がかかるのです。

これらはポルシェがRRであるために後輪の負担が多く、コーナリングでの横Gに変形量が増え、ステアリング性能につかみどころの無い影響がでているのです。

BBS鍛造マグホイールはアルミ鍛造ホイールもそうですが、ポルシェ専用設計で、リヤは特に荷重(ホイールにかかる負担)に絶える強度で作られてるのです。

昨年末に松田秀士氏のドライブで鈴鹿サーキットをノーマルのGT3にBBSマグホイールとSタイヤを装着して2分24秒をたたきだしました。それまでノーマルでは服部尚貴氏(ベストモータリング取材時)により、ラジアルタイヤで2分32秒どまりでした。

GT3はノーマルでは964RSには勝てない等と陰口を言われてましたが、ドライバーのテクニック、そしてGT3の実力もさすがですが、マグホイールの威力も見逃せません。

世界最高のポルシェに世界最高のBBS製マグホイールを装着され、そのデザインと性能を堪能してください。

取り付け車種

964 C2,&4、RS ターボ

993 C2&4、 RS、 ターボ   * スペーサーの必要な車両も有ります。

986 ALL

996 C2&4, GT3

ご意見、ご質問をお待ちしております。

弊社では、ホイールとタイヤセットでの販売の為、タイヤチャンジャーを23インチまで組み付け可能なイタリア製チェンブを導入しております。

もちろん、タイヤバランサーもです。